何かしようと直前まで覚えていたのに、急にど忘れしてしまうことはないでしょうか。また、物の名前が出てこずに、「あれ」や「それ」などばかり言ってしまう人も珍しくないでしょう。多くの人は「年だからしかたない」とあきらめてしまっています。
しかし、物忘れするのは年のせいばかりとは限りません。そもそも人間の脳は、非常に多くのエネルギーを消費する器官です。人間の1日の消費エネルギーのうち、脳の消費量だけで約20%も占めています。したがって、脳が疲労すると、物の名前が出てこなくなるなど忘れっぽくなるのです。また、思考力や判断力も鈍ってしまいます。
そんなことのないように、日ごろから脳の活性化に努めましょう。脳を鍛えるのに年齢は関係ありません。最近の研究では、何歳からでも脳は鍛えれば鍛えるほど活性化することがわかっています。脳の活性化に役立つ栄養素もたくさんあるため、それらを多く含む食べ物を日ごろからしっかり食べましょう。
たとえば、イワシ、サンマ、サバなどの青魚です。青魚が健康に良いということは広く知られていますが、なぜだかご存じでしょうか。それは、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といった、脳の神経細胞や神経伝達をスムーズにする脂肪酸が豊富に含まれているからです。
ただし、これらの栄養素は加熱調理で流出しやすいことに注意してください。できれば刺し身やお寿司など生食で、もしくは、加熱するなら煮物や味噌汁にして、汁ごと食べることをおすすめします。
卵の黄身にも、DHAやEPAの脂肪酸が豊富に含まれています。脳の神経細胞や情報伝達に関するリン脂質も豊富です。加えて、卵にはゼアキサンチンやコリンなどの物質も含まれています。
ゼアキサンチンとは、その高い抗酸化作用によって脳が酸化するのを防ぎ、神経伝達の効率をよくする働きのある物質です。コリンとは、体内に摂取されるとアセチルコリンという物質に変わり、これも脳内で情報伝達や記憶をサポートする役割を果たしています。
野菜のなかにも、脳の活性化に良い種類がたくさんあります。ニンジン、カボチャ、ホウレン草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜です。ビタミンやカロテンなどの栄養素が他の種類の野菜よりも豊富なのが特徴ですが、血液をさらさらにしてくれるビタミンKなども多く含まれています。ビタミンKは記憶力アップにも良いとされるビタミンですので、緑黄色野菜で積極的に摂取しましょう。
野菜のなかではトマトにも注目です。トマトには、抗酸化作用の高いリコピンという物質が豊富に含まれています。その高い抗酸化作用により脳の酸化、すなわち老化を予防する効果が高いことで有名です。トマトでリコピンをしっかり摂取すると、老化の抑制や記憶力の低下の予防ができ、認知症のリスクを下げるとも言われています。
野菜以外では、大豆製品もおすすめです。大豆は「畑の肉」とも言われるように良質なたんぱく質が豊富な食品ですが、レシチンという物質もたくさん含んでいます。この物質は、体内に吸収されると、先にも述べたアセチルコリンという物質に変換されて、脳の情報伝達や記憶力のアップに効果大です。
アサリや牡蠣などの貝類に含まれる栄養素も、脳の活性化に有効です。これらの貝類は、亜鉛を豊富に含んでいることで知られています。亜鉛というと精子を作る原料として有名ですが、実は脳にとっても重要で、シナプス小胞内で神経を活動させるのに必須の存在です。また、脳の海馬にも多く存在しています。亜鉛によって、脳の細胞分裂が活発になるとともに、記憶力アップの効果も期待大です。
フルーツのなかではバナナをおすすめします。バナナには、果糖、ショ糖、ブドウ糖と3種類の糖分が含まれており、それぞれ異なる働きを担っています。脳にとって、特に大切なのがブドウ糖です。ブドウ糖は脳を動かすエネルギーのようなもので、これが不足すると海馬がうまく機能しなくなり、記憶力が低下してしまいます。逆に、しっかり摂取することで海馬に働きかけ、記憶力向上が期待できるのです。
加えて、バナナにはトリプトファンも多く含まれています。これは、体内でセロトニンへと変化する物質です。セロトニンは夜にはメラトニンへと変換され、睡眠の質を高めます。質の高い睡眠をしっかり取ることによって脳の機能も強化されるため、食べ物と同時に、睡眠にも気を使いたいものです。
おやつ系では、ナッツ類が脳の活性化におすすめです。ナッツ類には総じてビタミンEが多く含まれており、細胞の損傷や劣化を防ぎます。また、その高い抗酸化作用によって、脳を酸化から守るのにも有効です。
抗酸化作用でいうと、ほかにもアントシアニンの豊富なベリー類、テオブロミンを多く含むカカオで作るチョコレートなどがあります。
また、食べ物ではありませんが、手軽に摂取できる点ではスマートドラッグも効率的です。スマートドラッグは通販サイトにて、個人でも簡単に購入できます。